2008年 10月 30日
小さな声を受けとめていますか?
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先週、こんのひとみさんの講演会『小さな声を受けとめていますか?』を
聴きに行きました。絵本作家さんということで楽しみにして行ったのですが、正直
彼女の事はあまりよく存じ上げませんでした。
こんのひとみさんのプロフィールには、絵本作家、エッセイスト、シンガソングライター、
ラジオパーソナリティーと書かれてあり、才能豊かな方なんだな・・・という事だけを頭に
講演会へ。開演と同時に、童謡を歌いながらの登場。とても美しい歌声の持ち主でした。
お話を伺っているうちに ただ”才能豊か”だけでは片付けられない程の苦しみも辛さも
ご経験なさっており、それを乗り越えられている分、一層彼女の言葉一つ一つに
重みが感じられんだなと思いました。そして気が付くと、涙が・・・。
こんのさんは、4年前の忘れられない出来事をお話し始めました。
それは1月3日、年が明けて家族でゆっくりされていた時の事です。
息子さんが神社へ新年のお参りをしに行きたいと申し出たので、お年召されたお母様に
「お参りに出かけたいと思うんだけど、一緒に行きませんか?」と伺ったそうです。
するとお母様が「ちょっと寒気がするから風邪をひいたかもしれない。お留守番しているから
みんなで行ってきて。」とおっしゃいました。
こんのさん、「おばあちゃんが風邪気味みたいだからお留守番しているんですって。
おばあちゃんの分も手を合わせてきましょう。」と、お母様を残して出かけようと
玄関のドアを開けようとしたら、携帯に電話が。。。
不幸があったことの連絡。
結局自分もいけなくなったので、おばあちゃんと自分の分もお参りしてきて・・・とお願いし、
自分は仕度を始めたそうです。準備が出来て、出かけようとした時にひとことお母様に
帰りが遅くなるかもしれないと告げようと「おかあさーん!」と声を掛けたそうです。
・・・
返事がありません。
「おかあさーん!おかあさーん!」・・・
どこに行ったのかしら・・・と家中さがしたそうです。するとお手洗いの扉に付いた小窓に
明かりが付いているのに気が付き、あ~お手洗いね・・・と思い、
「おかあさん、これから出掛けるけど、帰りが遅くなるかもしれないから。」
でも返事がありません。
おかしいと思い、ドアノブに手を掛けてガチャガチャやったのですが、開きません。
何か違和感を感じ、「ママー!ママー!大丈夫?どうしたの?ママー!」と激しくドアを
開けようとしたら、ドアと共にお母様が倒れてきたそうです。
床に落ちる前にお母様を自分の腕の中に受けとめて、一生懸命お母様を呼びました。
でも返事がなく、それが最後だったそうです。
その時 お母様に「ママ、ごめんね・・・」と語りかけていたそうです。
自分でもなぜ「ごめんね」なのか考えたそうです。
こんのさんは、女手一つで育てられたとの事。もちろんお母様の苦労は相当なもので
ぶつかることも よくあったとか。そんな中 思春期の時 お母様に向かって、
「私は大人になったらお母さんのようにはならないから!幸せな家庭を築くから。。。」と
言ってしまい、そのことがずっと頭から離れずにいたそうです。
自分は結婚をし、母となり、しっかり仕事と家庭を両立できていたと多少の自信が
あったそうです。でも実はお母様の力添えがかなり大きかった事、お母様の存在が
なければ今の自分はなかった事をヒシヒシと感じている。。。だから自分があの時
言ってしまった言葉に後悔が残り、その時のお母様の心情を考えると
居たたまれなくなるとの事。
そんな自分に人生の師と仰いでいる先生がいるそうです。
それは、神奈川県茅ヶ崎市の浜之郷小学校校長・大瀬敏明先生。
大瀬先生は、お医者様に余命3ヶ月を宣告されたそうです。
子供たちの事が大好きな大瀬先生は、ご自分自身が教材となり学校へ通い、
命のある限り子供たちに『命の授業』をされ続けたのだそうです。
その先生が亡くなられたという悲しいお知らせが、先ほど玄関先で鳴った携帯。
4年前の1月3日。。。
こんのさんのお母様と同じ日だったそうです。
大瀬先生は、ご病気になられて初めて分かったことがあるとの事。
「子供は明るくて元気が一番と、大人が思い込んでいます。でも本当は、
子供は小さくて弱いものなのです。子供たちの痛みを分かち合うのが、
大人の役目だと思います。」(『くまのこうちょうせんせい』あとがきより抜粋)
そんな大瀬先生を絵本にしたのが、『くまのこうちょうせんせい』。実話です。
こんの ひとみ・作 いもと ようこ・絵 金の星社
こんのさん自ら朗読して下さいました。↓
まいあさ、くまこうちょうせんせいが、げんきに むかえてくれます。
校長先生「おはよう!」
生徒達「おはようございまーす!」
ひつじくん「おはようございます・・・」
校長先生「ゆうきを だしてごらん。いつか おおきなこえで おはようが いえるようになるよ。」
ひつじくんに優しく声を掛ける校長先生。
このひつじくん、『おはよう』の練習を何度もするのですが、大きな声が出ません。
実は大きな声というのは、ひつじくんにとって悲しくさせるものばかり。
夜、ベッドで寝ていると聞こえてくる両親のケンカの声とお母さんの叱る時の声。。。
ある日 校長先生が病気になってしまいます。
校長先生は体が弱り、大きな声が出せなくなってしまいました。
でも病院ではお医者さんや看護師さんは、大きな声を強要せずに
校長先生の小さな声にじっと耳をすませてくれます。
少しでもいいから学校へ行きたいと懇願した校長先生は外出許可をいただき、
学校へ行きます。すっかり痩せて小さくなってしまった校長先生は、生徒達に
ニコニコしながらも 「おはよう!」と小さな声しか出ません。
大きな声が出したくても出せないこともあると病気になって初めて知った校長先生は、
ひつじくんにそのことを伝えようとします。
ところが 頑張りすぎた校長先生がひつじくんの目の前で倒れてしまいます・・・
小さな声しか出ない ひつじくん、、大好きな校長先生を助ける為にどうしたでしょう?
いもとようこさんの優しくて美しい絵が、物語にぴったり合っていて
心に響いてくる素晴らしい絵本です。
ぜひ機会がありましたら、書店や図書館などで手にとって見て下さい。
最後に彼女が作詞作曲した『♪パパとあなたの影ぼうし』を歌って下さいながら
閉演となりました。。。
こんのさんの息子さんは少し障害を持っていらっしゃるそうです。
今でこそちゃんとした病名があるそうなのですが、当時は病名もなく世間から理解されず、
少し動きがギクシャクしてしまう息子さんの事を「お宅の息子さんは・・・」と担任の
先生からお叱りを受けて、随分辛い思いをされたそうです。
ついご自分も息子さんに「頑張って!あなたなら もっと頑張れる!」と言ってしまった
事があるそうなのですが、今となれば「頑張っているね!あなたは よく頑張っている!」と
言ってあげれば良かったと思うのだそうです。
そんな息子さんも成長し、すっかり大人になりました。
でも当時の息子さんを思って作った子守唄が、『パパとあなたの影ぼうし』。
この歌は、NHKみんなの歌で放送されて以来大反響を呼び、メジャーデビューと
なったそうです。太田裕美さんが歌っております。よかったら聴いてみてください→★
こちらも こんのひとみさんの書かれた心温まる絵本の一つ。↓
『いつもいっしょに』 こんのひとみ・作 いもとようこ・絵 金の星社
森の中に一人ぼっちで住んでいたクマ。食べるのも、寝るのも一人。
ところがある日、寒そうにしていた可愛いウサギが現れました。
クマはウサギのために温かいスープを作ったり、一緒に温かいベッドで寝たり、、、
誰かの為に何かをする、誰かと何か一緒にする・・・という喜びを知りました。
お料理するのも、お出掛けするのも、何もかも楽しくなりました。
でも 一つ気になることが・・・。ウサギは、いつもニコニコするだけで何を訊ねても
答えてくれないのです。
クマはつまらなくなり、『色々してあげているのに・・・ぼくの事をどう思っているのかな?』と
不満に思うようになってしまいました。
とうとうクマは大きな声でウサギを責め立ててしまいました。
ウサギはじっとクマを見つめながら、目にいっぱい涙をためました。
そして朝起きるとウサギの姿は消えてしまいます。
また一人ぼっちになったクマ。どんなに今までが幸せだったかを知りました。
後悔をするクマ・・・
物語の最後にはどんでん返しが待っています。
ぜひこちらも機会がありましたら、手に取って見て下さい。
大人にも十分通じるお話ですし、小さなお子様にもおすすめの一冊。
こんのひとみさんの『命』の講演会。。。とっても感動いたしました。
最近 特に 「命」、「生」、「死」・・・など、例外なく全ての人間に当てはまる永遠のテーマを
考える機会が本当に多いなぁ~。きっと『しっかり勉強しろ!』という天の声なんでしょうね。
これからもしっかりアンテナを張っていきたいと思います。
聴きに行きました。絵本作家さんということで楽しみにして行ったのですが、正直
彼女の事はあまりよく存じ上げませんでした。
こんのひとみさんのプロフィールには、絵本作家、エッセイスト、シンガソングライター、
ラジオパーソナリティーと書かれてあり、才能豊かな方なんだな・・・という事だけを頭に
講演会へ。開演と同時に、童謡を歌いながらの登場。とても美しい歌声の持ち主でした。
お話を伺っているうちに ただ”才能豊か”だけでは片付けられない程の苦しみも辛さも
ご経験なさっており、それを乗り越えられている分、一層彼女の言葉一つ一つに
重みが感じられんだなと思いました。そして気が付くと、涙が・・・。
こんのさんは、4年前の忘れられない出来事をお話し始めました。
それは1月3日、年が明けて家族でゆっくりされていた時の事です。
息子さんが神社へ新年のお参りをしに行きたいと申し出たので、お年召されたお母様に
「お参りに出かけたいと思うんだけど、一緒に行きませんか?」と伺ったそうです。
するとお母様が「ちょっと寒気がするから風邪をひいたかもしれない。お留守番しているから
みんなで行ってきて。」とおっしゃいました。
こんのさん、「おばあちゃんが風邪気味みたいだからお留守番しているんですって。
おばあちゃんの分も手を合わせてきましょう。」と、お母様を残して出かけようと
玄関のドアを開けようとしたら、携帯に電話が。。。
不幸があったことの連絡。
結局自分もいけなくなったので、おばあちゃんと自分の分もお参りしてきて・・・とお願いし、
自分は仕度を始めたそうです。準備が出来て、出かけようとした時にひとことお母様に
帰りが遅くなるかもしれないと告げようと「おかあさーん!」と声を掛けたそうです。
・・・
返事がありません。
「おかあさーん!おかあさーん!」・・・
どこに行ったのかしら・・・と家中さがしたそうです。するとお手洗いの扉に付いた小窓に
明かりが付いているのに気が付き、あ~お手洗いね・・・と思い、
「おかあさん、これから出掛けるけど、帰りが遅くなるかもしれないから。」
でも返事がありません。
おかしいと思い、ドアノブに手を掛けてガチャガチャやったのですが、開きません。
何か違和感を感じ、「ママー!ママー!大丈夫?どうしたの?ママー!」と激しくドアを
開けようとしたら、ドアと共にお母様が倒れてきたそうです。
床に落ちる前にお母様を自分の腕の中に受けとめて、一生懸命お母様を呼びました。
でも返事がなく、それが最後だったそうです。
その時 お母様に「ママ、ごめんね・・・」と語りかけていたそうです。
自分でもなぜ「ごめんね」なのか考えたそうです。
こんのさんは、女手一つで育てられたとの事。もちろんお母様の苦労は相当なもので
ぶつかることも よくあったとか。そんな中 思春期の時 お母様に向かって、
「私は大人になったらお母さんのようにはならないから!幸せな家庭を築くから。。。」と
言ってしまい、そのことがずっと頭から離れずにいたそうです。
自分は結婚をし、母となり、しっかり仕事と家庭を両立できていたと多少の自信が
あったそうです。でも実はお母様の力添えがかなり大きかった事、お母様の存在が
なければ今の自分はなかった事をヒシヒシと感じている。。。だから自分があの時
言ってしまった言葉に後悔が残り、その時のお母様の心情を考えると
居たたまれなくなるとの事。
そんな自分に人生の師と仰いでいる先生がいるそうです。
それは、神奈川県茅ヶ崎市の浜之郷小学校校長・大瀬敏明先生。
大瀬先生は、お医者様に余命3ヶ月を宣告されたそうです。
子供たちの事が大好きな大瀬先生は、ご自分自身が教材となり学校へ通い、
命のある限り子供たちに『命の授業』をされ続けたのだそうです。
その先生が亡くなられたという悲しいお知らせが、先ほど玄関先で鳴った携帯。
4年前の1月3日。。。
こんのさんのお母様と同じ日だったそうです。
大瀬先生は、ご病気になられて初めて分かったことがあるとの事。
「子供は明るくて元気が一番と、大人が思い込んでいます。でも本当は、
子供は小さくて弱いものなのです。子供たちの痛みを分かち合うのが、
大人の役目だと思います。」(『くまのこうちょうせんせい』あとがきより抜粋)
そんな大瀬先生を絵本にしたのが、『くまのこうちょうせんせい』。実話です。
こんの ひとみ・作 いもと ようこ・絵 金の星社
こんのさん自ら朗読して下さいました。↓
まいあさ、くまこうちょうせんせいが、げんきに むかえてくれます。
校長先生「おはよう!」
生徒達「おはようございまーす!」
ひつじくん「おはようございます・・・」
校長先生「ゆうきを だしてごらん。いつか おおきなこえで おはようが いえるようになるよ。」
ひつじくんに優しく声を掛ける校長先生。
このひつじくん、『おはよう』の練習を何度もするのですが、大きな声が出ません。
実は大きな声というのは、ひつじくんにとって悲しくさせるものばかり。
夜、ベッドで寝ていると聞こえてくる両親のケンカの声とお母さんの叱る時の声。。。
ある日 校長先生が病気になってしまいます。
校長先生は体が弱り、大きな声が出せなくなってしまいました。
でも病院ではお医者さんや看護師さんは、大きな声を強要せずに
校長先生の小さな声にじっと耳をすませてくれます。
少しでもいいから学校へ行きたいと懇願した校長先生は外出許可をいただき、
学校へ行きます。すっかり痩せて小さくなってしまった校長先生は、生徒達に
ニコニコしながらも 「おはよう!」と小さな声しか出ません。
大きな声が出したくても出せないこともあると病気になって初めて知った校長先生は、
ひつじくんにそのことを伝えようとします。
ところが 頑張りすぎた校長先生がひつじくんの目の前で倒れてしまいます・・・
小さな声しか出ない ひつじくん、、大好きな校長先生を助ける為にどうしたでしょう?
いもとようこさんの優しくて美しい絵が、物語にぴったり合っていて
心に響いてくる素晴らしい絵本です。
ぜひ機会がありましたら、書店や図書館などで手にとって見て下さい。
最後に彼女が作詞作曲した『♪パパとあなたの影ぼうし』を歌って下さいながら
閉演となりました。。。
こんのさんの息子さんは少し障害を持っていらっしゃるそうです。
今でこそちゃんとした病名があるそうなのですが、当時は病名もなく世間から理解されず、
少し動きがギクシャクしてしまう息子さんの事を「お宅の息子さんは・・・」と担任の
先生からお叱りを受けて、随分辛い思いをされたそうです。
ついご自分も息子さんに「頑張って!あなたなら もっと頑張れる!」と言ってしまった
事があるそうなのですが、今となれば「頑張っているね!あなたは よく頑張っている!」と
言ってあげれば良かったと思うのだそうです。
そんな息子さんも成長し、すっかり大人になりました。
でも当時の息子さんを思って作った子守唄が、『パパとあなたの影ぼうし』。
この歌は、NHKみんなの歌で放送されて以来大反響を呼び、メジャーデビューと
なったそうです。太田裕美さんが歌っております。よかったら聴いてみてください→★
こちらも こんのひとみさんの書かれた心温まる絵本の一つ。↓
『いつもいっしょに』 こんのひとみ・作 いもとようこ・絵 金の星社
森の中に一人ぼっちで住んでいたクマ。食べるのも、寝るのも一人。
ところがある日、寒そうにしていた可愛いウサギが現れました。
クマはウサギのために温かいスープを作ったり、一緒に温かいベッドで寝たり、、、
誰かの為に何かをする、誰かと何か一緒にする・・・という喜びを知りました。
お料理するのも、お出掛けするのも、何もかも楽しくなりました。
でも 一つ気になることが・・・。ウサギは、いつもニコニコするだけで何を訊ねても
答えてくれないのです。
クマはつまらなくなり、『色々してあげているのに・・・ぼくの事をどう思っているのかな?』と
不満に思うようになってしまいました。
とうとうクマは大きな声でウサギを責め立ててしまいました。
ウサギはじっとクマを見つめながら、目にいっぱい涙をためました。
そして朝起きるとウサギの姿は消えてしまいます。
また一人ぼっちになったクマ。どんなに今までが幸せだったかを知りました。
後悔をするクマ・・・
物語の最後にはどんでん返しが待っています。
ぜひこちらも機会がありましたら、手に取って見て下さい。
大人にも十分通じるお話ですし、小さなお子様にもおすすめの一冊。
こんのひとみさんの『命』の講演会。。。とっても感動いたしました。
最近 特に 「命」、「生」、「死」・・・など、例外なく全ての人間に当てはまる永遠のテーマを
考える機会が本当に多いなぁ~。きっと『しっかり勉強しろ!』という天の声なんでしょうね。
これからもしっかりアンテナを張っていきたいと思います。
by kyokoko_a
| 2008-10-30 21:32
| ひとりごと